「幸福荘の秘密」折原一 |
高知の四万十市で41.0度の暑さで日本記録を更新した。 さて、これは非常に構成に凝った作品である。 「天井裏の散歩者」という作品の続編らしい。 1枚のフロッピーに次々と筆者が替わって摩訶不思議な事件と その真相を暴露する文書が加わっていく。 現代では「フロッピー」自体存在しない過去の遺産になり 今風に置き換えれば「USBメモリ」だろう。筆者は誰かを明らかに する場合もあるし、ワープロソフトによって筆跡が消えるから誰が 書いたか分からない場合がある。 冒頭の作品「<文書1>密室の奇術師」では作者の完璧なミスリード により誰がどのように密室を出入りしたかだまされたと言える。 続く作品でも手を変え品を変え新しい視点で不思議な現象が起き、 その度にフロッピーに文書が加わっていく。何層にも渡って 事件の問題編と解決編が加わり、最後まで楽しめた。 幸福荘の住人は変人ばかりである。 管理人、墨須玄人、古書店、宅一郎、南野はるか、長万部清彦、 長万部里美、鶴間美也子、謎の人物等々。 例えば南野はるか。美人でグラマーな人物として描かれているが 実在する人物なのか、単なる文書中の創作なのか途中で分からなく なってくる。 そしてこの作品の最大のトリックは幸福荘自体の建物の構造に あった。とだけここでは述べておこう。謎は最後に明らかに なるがあり得ない現象の説明がついてようやく納得ができた。 前作「天井裏の散歩者」を読みたくなった。 それにしても筆者は非凡なアイデアの持ち主である。 |
by 1manpo_club
| 2013-08-12 12:30
| 本
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