「失踪者」折原一 |
似たような環境に二つの家族があり、犯罪を犯した二人の 少年Aはそれぞれ成長した。作者に完璧に騙された。 最後の数ページで犯罪を犯した親子の手記により連続 殺人事件の全貌が明らかになる。 この作品もまた思わず前の部分を読み返した。 久喜市で若い女性ばかりが犠牲になった連続殺人事件が 発生した。そして15年後再び同じような連続殺人事件が起きる。 時を隔てた二つの事件は、「ユダ」と「ユダの息子」という メッセージが酷似していた。 この事件を扱ったノンフィクション作家の高峰隆一郎は、 少年Aの周辺を取材し、少年法によって守られた少年Aを 連続殺人犯として取り上げ本を上梓した。 しかし、少年Aは少年院で前言を翻し、自分は殺人を犯して いないと主張を始める。高峰の助手である神埼弓子は高峰とは 別に独自に調査を始め、徐々に真犯人に近づき、ついには真犯人 に殺されそうになる。そして、15年前の容疑者だった玉村光男と 下柳栄治もまた殺されてしまう。 真犯人は最後の最後まで見当もつかなかった。そして全く意外な 人物が真犯人だった。弁護士の日野孝彦が犯人であると思い込んだ、 一人の少年Aの父親である小笠原と同じ立場に私は立ってしまった。 それほど巧妙に物語りは展開する。 混乱の元は田島家と小笠原家の親と息子の少年Aを完全に取り違えた 所にある。そこに日野弁護士もかつての少年Aだったという印象を 受け、真実が見えなかったのである。 読者を見事にミスリードする作者の手腕はただものではない。 思わず二度読みしたくなる作品である。 2013年7月24日(水)の実績は、 9827歩 でした。 平均 10920.1 合計 30871262 日数 2827 瞬間年間歩数 3985854 直近10日間平均 8948.3 |
by 1manpo_club
| 2013-07-24 12:30
| 本
|
<< アリ全滅 | 電気の瞬断による影響 >> |