「眩暈」東野圭吾 |
文庫本で673ページにもなる長編推理小説である。 青年の異常な手記が発見された。 内容は支離滅裂だった。 映画俳優旭屋を父に持つ淘汰は父親の何人目かの愛人の 香織を母親代りに育った。淘汰は江ノ島近くの森ケ崎の マンションで暮らしていた。 ある日、淘汰が香織に「『今日ですべてが終わりだ』って 知ってると尋ねたところ、香織が突然に豹変し気違いの ように淘汰を攻撃し始めた。 ちょうどその時来客があった。父の友人の加鳥だった。 香織と加鳥は喧嘩を始めた。そのとき開いたドアから 強盗が入りピストルで脅す。加鳥は刃向かうも刃物で 腹を刺されてしまう。そして強盗の発射した弾が 刃物に反射して香織に当たってしまう。二人とも 絶命してしまう。慌てた強盗は逃げ出した。 残された淘汰はどうしていいか分からず、マンションの 外に出ようとする。ところが1階では見知らぬ男たちが 相撲をしており、外に出ると古ぼけた風景に変わって いた。江の島の鉄塔も消えている。うさぎやその他 色々な動物の頭を持った人間がそこら中を歩き回り、 淘汰は出くわした怪獣に腕を食いちぎられてしまう。 やがて昼間のはずの太陽が消え、辺りは真っ暗に なってしまう。マンションに戻った淘汰は香織と 加鳥の死体を半分に切って香織の上半身と加鳥の 下半身を組合わせる行動を取る。「占星術殺人事件」を 模倣したのである。 この手記を読んだ御手洗は、これが事実に基づくもの であることを推理する。こんな支離滅裂な話は 到底淘汰の想像であるとする御手洗の相棒の石岡は 御手洗の活躍により事件の全貌が明らかになるに 至り、淘汰の手記は事実に基づくものであることを 知ることになる。それどころか、過去だけで無く 現在にも残る謎を御手洗は抜群の推理力で解明する。 御手洗の推理が冴え渡る読み応えのある作品である。 こんなことはあり得ないと思うようなことも根拠を 明らかにして事実を突き止める。御手洗の天才的な 頭脳に乾杯である。 長編ではあったが最後まで飽きることなく読み進めた。 もっと御手洗の活躍を読みたい私である。 2012年12月30日(日)の実績は、 5110歩 でした。 平均 11014.1 合計 29253399 日数 2656 瞬間年間歩数 4020140 直近10日間平均 8909.8 |
by 1manpo_club
| 2012-12-30 12:30
| 本
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