「覇王の家 上」司馬遼太郎 |
これは歴史小説だと思って読み始めたが、歴史小説とは ジャンルが異なる。歴史評論とも言うべきものだ。 ここには司馬遼太郎の歴史観が現れている。 裏表紙に次のような紹介文が載っている 「徳川三百年---戦国時代の騒乱を平らげ、長期政権 (覇王の家)礎を隷属忍従と徹底した模倣のうちに 築き上げた徳川家康。三河松平家の後継ぎとして生まれながら、 隣国今川家の人質となって幼年期を送り、当主になってからは 甲斐、相模の脅威に晒されつつ、卓抜した政治力で地歩を固めて いく。おりしも同盟関係にあった信長は、本能寺の変で急逝。 秀吉が天下を取ろうとしていた・・・・。」 単に歴史的事実を並べるだけではない。歴史上の人物が その行動を取った心理的いきさつを見事に描いた評論である。 徳川家康の心理面の動きが良く分かり目からウロコの作品である。 家康の行動原理は裏表紙にもあるように 「隷属忍従」と「模倣」である。このような視点で描いた作品を これまで見たことがなかった。司馬遼太郎の広い知識と深い 洞察が生んだ傑作である。 司馬遼太郎がますます好きになった。 |
by 1manpo_club
| 2012-12-01 12:30
| 本
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